VBAのクラスモジュールとは？　オブジェクト指向で書くExcelマクロ超入門

はじめに：VBAにも「オブジェクト指向」はある
クラスモジュールとは？標準モジュールとの違い
1. 標準モジュールとの違い
2. クラスモジュールの定義方法
基本例：Personクラスを作ってみよう
1. 呼び出し側（標準モジュール）
クラスを使うメリット：可読性と保守性の向上
実務例：Excelシートの「顧客情報」をオブジェクトで扱う
1. 顧客クラス（Customer）
2. 標準モジュールでの処理
クラスをマスターするためのヒント
まとめ：VBAでも“オブジェクト指向”は武器になる
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はじめに：VBAにも「オブジェクト指向」はある

Excel VBAと聞くと、「セルを操作するための簡易スクリプト」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、VBAにはれっきとした「オブジェクト指向プログラミング（OOP）」の要素があります。

その中核を担うのが「クラスモジュール」です。

本記事では、VBAでクラスモジュールを使いこなすための基礎と、実務での活用方法をわかりやすく解説します。

クラスモジュールとは？標準モジュールとの違い

標準モジュールとの違い

項目	標準モジュール	クラスモジュール
定義内容	関数やプロシージャ（Subなど）	オブジェクト（プロパティ・メソッド）
インスタンス化	不要（そのまま呼び出し）	必要（Newキーワードで生成）
使い所	共通処理のまとめ	状態と動作をセットにした設計が必要な場面

クラスモジュールの定義方法

VBAエディターで「挿入」→「クラスモジュール」を選択
Name プロパティでクラス名（例：Person）を設定

基本例：Personクラスを作ってみよう

' クラスモジュール名: Person

Private pName As String
Private pAge As Integer

Public Property Get Name() As String
    Name = pName
End Property

Public Property Let Name(ByVal value As String)
    pName = value
End Property

Public Property Get Age() As Integer
    Age = pAge
End Property

Public Property Let Age(ByVal value As Integer)
    pAge = value
End Property

Public Sub ShowInfo()
    MsgBox "名前: " & pName & ", 年齢: " & pAge
End Sub

呼び出し側（標準モジュール）

Sub SampleUse()
    Dim user As New Person
    user.Name = "田中"
    user.Age = 30
    user.ShowInfo
End Sub

クラスを使うメリット：可読性と保守性の向上

✅ 複数の関連情報をひとまとめにできる

→ 例えば「顧客」や「商品」などの情報をクラスで表現すると、データと操作をセットで扱えるようになります。

✅ 似た処理を再利用しやすい

→ 同じような構造のデータを複数扱う場面（一覧表示・検索など）で便利。

✅ Excelの表との親和性も高い

→ セルの内容を読み込んでクラスに変換 → 加工して再出力、のような処理が柔軟に。

実務例：Excelシートの「顧客情報」をオブジェクトで扱う

顧客クラス（Customer）

' クラスモジュール名: Customer

Private pID As String
Private pName As String
Private pEmail As String

Public Property Get ID() As String: ID = pID: End Property
Public Property Let ID(ByVal value As String): pID = value: End Property

Public Property Get Name() As String: Name = pName: End Property
Public Property Let Name(ByVal value As String): pName = value: End Property

Public Property Get Email() As String: Email = pEmail: End Property
Public Property Let Email(ByVal value As String): pEmail = value: End Property

標準モジュールでの処理

Sub ReadCustomers()
    Dim customers() As Customer
    Dim i As Long, lastRow As Long
    lastRow = Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
    
    ReDim customers(1 To lastRow - 1)
    
    For i = 2 To lastRow
        Dim c As New Customer
        c.ID = Cells(i, 1).Value
        c.Name = Cells(i, 2).Value
        c.Email = Cells(i, 3).Value
        Set customers(i - 1) = c
    Next i
    
    MsgBox "読み込み完了：" & UBound(customers) & "件"
End Sub