Javaのクラス設計、なんとなくやっていませんか?
本記事では、「Javaクラスって何?」「クラス分けってどうやるのが正解?」という疑問を、現場で通用するオブジェクト指向の考え方とともに解説します。
✅ この記事でわかること
- Javaクラスとは何か?初心者向け定義
- クラスとインスタンスの違い
- 実務で役立つクラス設計の考え方
- よくある失敗例と設計改善のヒント
- 継承・カプセル化・ポリモーフィズムの活かし方
1. Javaにおける「クラス」とは何か?
クラス(class
)とは、オブジェクトの設計図です。
現実世界で例えるなら、クラスは「車の設計図」、インスタンスは「実際の車1台1台」です。
🔹 具体例
public class Car {
String color;
int speed;
void run() {
System.out.println("車が走る");
}
}
上記のCar
クラスは、「色」や「速度」といった状態(フィールド)と、「走る」という振る舞い(メソッド)をまとめたものです。
2. クラスとインスタンスの関係を押さえよう
クラスだけ定義しても使えません。インスタンス化して初めてオブジェクトとして動き出します。
Car myCar = new Car();
myCar.color = "Red";
myCar.run();
このように、new
キーワードを使ってクラスからオブジェクトを生成するのがJavaの基本スタイルです。
3. 実務で使えるクラス設計の考え方
Javaのクラスは「単に機能をまとめるための箱」ではありません。責務(責任)を分離するための道具です。
✅ 設計の3原則(SOLIDから抜粋)
- 単一責任の原則(SRP)
クラスは1つの責任(目的)だけを持つべき - 開放/閉鎖原則(OCP)
拡張に対して開かれ、修正に対して閉じているべき - 依存性逆転の原則(DIP)
上位モジュールは下位モジュールに依存すべきでない(=インターフェースを介す)
4. 実務でありがちなクラス設計ミス
❌ 一つのクラスに全部詰め込みすぎ
public class OrderManager {
// 注文処理、支払い処理、メール通知処理……全部ここにある!
}
こうした「なんでも屋クラス」は、変更に弱く、テストもしにくく、保守性が最悪です。
✅ 責務ごとに分離する
public class OrderService { ... }
public class PaymentProcessor { ... }
public class NotificationSender { ... }
このように分ければ、再利用性・拡張性が格段に上がる設計になります。
5. オブジェクト指向の3本柱を「現場視点」で解説
🔷 継承(Inheritance)
- 再利用性アップ:共通処理を親クラスにまとめられる
- ただし多用しすぎると柔軟性を失う
- 実務では 継承よりも委譲(has-a関係)が重視されがち
🔷 カプセル化(Encapsulation)
- フィールドは
private
、操作はgetter/setter
経由が基本 - 不正アクセスや状態不整合を防ぐ
- 単体テストがしやすくなるメリットも
🔷 ポリモーフィズム(Polymorphism)
- 抽象クラスやインターフェースで実現
List<String>
のような共通型で扱える柔軟性- 実務では依存性の切り離しに使う場面が多い
6. クラス設計に悩んだら?実務での判断基準
判断ポイント | よくあるNG例 | 改善例 |
---|---|---|
責任が多すぎないか? | DBアクセスも画面処理も1クラス | DAOとServiceで分離 |
テストがしやすいか? | privateメソッドだらけでテスト不能 | 処理は外出ししてユニットテスト可能に |
拡張しやすいか? | if 文だらけで分岐 | Strategyパターンで切り替え可能に |
7. 総まとめ:Javaクラスは「責任分担」の基本単位
- クラスとはオブジェクトの設計図であり、機能と状態をまとめる単位
- 実務では「責任の明確化」が重要
- オブジェクト指向の3本柱を設計の軸として活用すべし